声の主を追っていくと、海辺に出た。
海辺のど真ん中であり大きな石畳の上、人たがりが出来ている。
馬鹿みたいに視力がいい俺は、中心に赤い髪を捕らえた。
人混みを押しのけ、母さんの元へ。
「母さん!!」
「ちょっと、あの子達、止めて!!!」
危害にあったのは、母さんではないらしい。
「もういいかげんにしてよ!!純奈!!!修っちを手玉に取って、零先輩と遊び呆けるって魂胆で、「これ」つけてるんでしょ!!」
「違うわ……っ!!返しーーって、痛っ!!!!いやぁぁぁっ!!!」
友香が、純奈を殴っていたのだ。
「辞めろ!!友香!!純奈!!何があった!!俺の家の前で、喧嘩はよせ!!」
髪を掴み、荒く突き飛ばそうとしていた友香を引き離し純奈に駆け寄った。
別に、依怙贔屓ではない。
明らかに、純奈に対して痣が多くあったからという問題にすぎない。
やり返す仕草もないしな。
「友香!!辞めろよ!!純奈が不利だ!!流石にやりすぎだ!!」
友香の目の前に立ち、純奈を庇う。
後ろには、零と百合が友香を抑えて、攻撃阻止。
「離してよ!!離してよ!!二人とも!!私、この悪性女許せないの!!零先輩と付き合ってるのに、わざわざ修っちがあげたネックレスをつけてる性格の悪さ、あたし許せないの!!」
ジタバタと暴れる友香。
その左手には、シルバーの首飾り。
「しかも、何で修っち純奈の味方なの!?おかしいよね!!思わせぶり悪性女の、肩入するわけ?!」
その言葉を聞いた瞬間、零の顔に影を落とす。


