Summer Love


頭の天辺から、鋭い痛みが走ってまともに立てずふらついた。



零の表情が固まるのは、俺がいきなり倒れたからだ。



そういえば、確かに純奈がいてから俺が俺でないみたいで、とっても変だ。




それは恋愛がどうとか、そういう事情とかではなく。



いつもの俺だったら、入学式にどんなに可愛い子が席を外したとしても、「あぁ……、体調が悪いんだろう」ってすんで追いかけないはずだ。



絶対にそうだ、以前の俺だったらそうしてる。




なのにもかかわらず、どうしてあの時純奈を追った?



ーーそれは……純奈が「あの人」に似てたから……。



あの人って?



どこのどいつだ?



ーー車、事故………。



駄目、思い出せないーー。



「っと、ビックリした……」


そう独り言を呟いていた頃には、零に支えられていた。



「大丈夫かい?」



「え、あぁ……」



なぜ恋敵に助けられてしまったのかさておき、二本足で地に足をつけようとした時。



「キャー!!!!!」



絶叫にも近い、叫び声が聞こえた。



その声の主即ち、母さん。



倒れた直後だが、しのごのは言ってられない。



すぐさま零を押し退けて、飛び出した。