そんな出会いあってか、俺と純奈は仲良くなってーー友香が入学してきて一緒につるんでいた時期だった。
「薫純奈は修先生のことが好きなのに、零をたぶらかし婚約を交わしている悪性女だ」
その噂を流したのはーー。
「私だよ?と・も・かでーす!!」と弁当にあった目玉焼きをぺろりと平らげる友香をみやる。
「お前………どうしてこんな事を……。いじめじゃないか!!」
友香は何も答えない。
ただ笑顔で、「そうですかね?」ととぼける。
「だって、信じられますか?修先生が修学旅行の情にあげたネックレスを、零先輩と付き合っているのに、わざわざつけている時があるんですよ?」
修学旅行の情とは、薫純奈は実は親の都合で修学旅行に行くのを断念せざる得なかった。
変な誤解をされたくなかったから、不登校の生徒で修学旅行に行けなかった他の子達の為にも、同じようなものはあげた。
そしてそれを、友香にも事情を説明したのだ。
純奈の事情を知っていた俺は、気の毒だと思い東京スカイツリー付近で売っていた、ネックレスを購入しお裾分けしたのだ。
銀のシルバーのネックレスしか、値段に見合うものがなくてヒヤヒヤして渡したのだが、案の定火種になるとは……。
「他の男に貰った、プレゼントを、彼氏の前で付けるだなんて、倫理観、純奈先輩壊れてないって話!!そんな人に、修っちを取られたくないの!!」
「ただ、お守りとして………つけているだけかもしれないじゃないか……」
そう。
ネックレスをあげたとき、純奈はあの時相当家で大変な事があった時期だから、「これはお守りとして、持っておけ。これは……俺がいつでも助けに来てやる証だと思え」と口走っていたのだ。
その事は、友香には伝えていないが。
「まさか修っち、純奈先輩事、好きなわけ!?」
「ば……馬鹿野郎!!そんなわけないだろ!!!」
正直、俺はよくわからなかった。
純奈の事が、恋人として好きなのか、それとも、友達として好きなのか、生徒として好きなのか。
今まで会ったことがない、生徒だからな尚更。
「あ、ちなみに零先輩もあんまりその件についてはよく思ってないみたいだからね!!下手に修っちが、干渉すると人の幸せを壊すムーブみたいな状況になってるから、純奈先輩に近づかないほうがいいと思うよ?あの人、何考えてるか分かんないし」
ーーお前のせいだろ!!
と豪語してやりたがったが、渡し方がまずかった俺の責任でもあるわけで。
絶妙な空気感漂う授業をなんとか耐え抜き、放課後一服していたら。
純奈が丁度やってきた。


