夕日が差している夏場近いとき。
グラウンドで走るのなんて苦痛でしかないからか。
サッカー部も大変だろうけど、俺と変わってほしい。
体を動かすだけなら、俺だって得意だ。
「ちょっとまってくれよ………俺は教師だぞ。
夏休み期間中に、店を手伝ってほしいって正気か?」
「お願い!!
親の一生の頼みだよ!!
いい飯食わせて、寝床もいいとこ用意するから!!」
良いところを用意すれば、俺が釣られるとでも?
厄介極まりないな、そういう問題ではないのに。
だが、俺は言えなかった。
「もうこれ以上は辞めろ」とは。
必死にすがっている母さんを見ると、なんというか。
世界が終わる瞬間を覗いているようで、心苦しい。
だが俺が断った所で聞く耳を持たないぐらい、直行してる。
これ以上は無駄だ。
「夏休み期間中は、研修があるんだよ。
それは上の人が決めることであって、俺は知らない。
無理だ」
「そこを何とか頼むよ……!!
あたしの恩ってのをあんた知らないの?
「柊修」体育教師になるために、お金を出したのは誰?
あたし達夫婦なのよ?!」
「卑怯で下劣だな」ーーなーんてことも胸にしまい。
「はぁ…仕方ないな。
なんとか校長に頼んでみるけど、期待するなよ?」


