走りに走って、母さんのもとに戻った。
時間を滞納し過ぎだと怒られて、ホテル敷地内にある裏山の手入れを任された。
電動で動く草刈り機などはなく、手動で除去しなければならない。
明日らへんは、数人の他のバイトが入って作業をするみたいだがーーー。
「終わりそうにないな………これ」
早速、絶望。
草花を抜いても、切っても、手当たり次第に溢れ出してくるかのような大量の雑草に目が眩む。
「こんな夏の暑い日に、怪訝に動いて両親の手伝いをしている俺は、狂人だな」
あまりの辛さに、苦言を吐き出したら。
「我はそうだとは思わんぞ?まだまだ、初老だな、修青年」
ハッと顔をあげると、おかっぱ頭のあどけない少女が一人。
紫くまのパーカーを羽織って、微笑んでペンとスケッチブックを構える姿。
「俺を、デッサン対象にするんじゃない!!日向百合!!」
日向百合は、俺のクラスの生徒。
友香達のクラスメイトでもある。


