Summer Love



「結局、校長先生は辞めちゃうみたいだね」




「そうだな………教育委員会とグルになっていたやつだったから、信頼落ちてたしな。当然の結果何だろうな……」




「でも、計画に関与した教育委員会側の人達も、処分されてるんでしょ?」




「まぁな。これで事済めばいいけど……、どうだかな。闇っていうのはなかなか消えることのない世界の悲しみだからな………」




空を見上げる。



一筋の光が走った。



これから先、どんな事を思いながら教師として、生きていこう………。



確かに体育館前では自分に卒業したいだなんて言っていたけれど、俺は俺だし、他人は他人だ。



「修先生、何願った?」




「そうだな………」



俺は教師として、立て直したばかりの半生野郎だからな。



「生徒の幸せを願うってことだろうかな」



「素敵だね………それって」



今の俺には、そうしたことでしか還元する事は出来ないって。



そう痛感する。




「じゃあ、私の幸せも願うって事だよね?」



「そうだな………って、お前は誰かの物になるのが嫌なんだろ?」



「でもね……人って、誰かの物にならないっていうのーーー物凄く難しいことなんじゃないかって感じてるの」




「それって?」



「簡単に言えば、人は一人で生きていけないってこと!!だから………一歩ずつ人慣れして、傷つけた人への恩返しがしたいなって考えてるの」



「単純な奴だな」



「でも……まだ怖いよ。両親の死を目前としたらさ………修先生が悪いわけじゃないよ……ただ………その。やっぱり抵抗感があるの……」




波びく絹のような髪を、そっと撫でた。



「まだ、お預けか?」



「………?どうゆう事?」




「鈍感だな………良いやお前がそう言うなら」



「変なの」



本当はここで、キスをしてやりたかった。



それはあまりに純奈が綺麗だったゆえに、やさしい心、感性に触れたから快くキスがしたかった。



でもーーー。



「まだ、友達の関係でいさせてよね………ごめんね修先生」



彼女の悲しげな顔を見て、そう言い返されると何とも言えない気持ちになる。



俺の責任でもあるよな。



こんな苦しい思いを、何十年も背負わせておいて、やはりキスだなんてご法度だ。



「なぁ、俺達………その、良ければだけど……恋人として成立する時が来るのかな……?」