また、その真相を知っているものがいたとしてもーーー。
「ーーどんな事情があっても、その話はしたくないわ。また時間のある時にして。さぁ、行った、行った!!」
こうやって、はぐらかし挙句の果てには邪魔をしてくる。
そんな攻防戦のような、精神の削り合いも疲れる故に俺は以前の記憶を取り戻すことは諦めた。
いや、俺は怖かったのかもしれない。
周りが必死に隠そうとする理由には、理由があると考えたら、尻込みしてしまうからだろう。
だから臭いものに蓋をするって事もあり、俺はこの一件を置いて、目の前のことに集中してなんとか日々をしのいでいる。
軽くあしらわれてしまい、結局のところ外に出ているバルコニーにテーブルカバーをかけることになった。
海辺の朝日が登る前のこの空間は、割と好きだ。
夜風に当たるような、清々しい風が体を浄化しているみたいに気持ちがいいから。
だけどどうしても、胸の焦燥感は拭いきれなかった。
物事がうまくいきすぎているときに、感じる不快感。
「あ!!!やっぱりここにいたんだ!!修っち!!」
嫌な予感は的中した。
「………なぜだ?」
真っ黄色なビキニを着た、友香がそこにいたのだ。
サンダルもひまわりの花がアクセントになって、華やか。
ーーーって、そんなことではなく。
「どうしたの?そんな不思議な顔をして?」
「不思議な顔って……お前、自分でやってることわかってんのか?ストーカーじゃないか?」
突然とした、衝撃によって出る言葉は感嘆ばかり。
「修先生はどうせ私のお嫁さんになるんだから、一心同体って事でどこまでも追いかける立場なの!!」
「……馬鹿を言え!!」
俺は軽く叩く。
「痛った!!愛のムチだとしても酷い!!」


