一言添えると、皆は黙った。
「俺は……でも今までの自分から卒業したいとは思う」
それでも、嘆き悲しむ声が響く。
「それは………弱い辛い事実から逃げていた自分から逃れるという意味だ。これからは………そうだ。辛い気持ちを深く考えられる、新しい教師になりたい」
全ての生徒の目が輝いているように見えた。
「俺は、やっぱり教師を……続けたいと思う。嫌われても、憎まれるかもしれない。だけど……、だからこそ、教師として恩返しを倍にして返したいから………。お願いだ!!」
頭を下げた時には、皆満場一致で拍手の嵐がまた巻き起こる。
そして、その日に辞退を取り消し新しい先生としての歩みを、また進めることになったのだ。
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