「俺は………ここにいる皆に、沢山のかけがえのないものを貰いました。愛、友情、理不尽な事、馬鹿馬鹿しいし事、楽しい事を。だからこそ、そんな大切なものを教えてもらった恩返しとしてーーー俺は」
ーーー「教師を辞める」と言いかけて、声が詰まった。
何度も声を絞り出そうとするけれど………どんなに凝らしても出てこない。
「やっぱり………やっぱり……無理だ……」
最後に出てきた言葉は、情けない自分の言霊。
「俺は………皆と一緒にいたいと思うんだ………友香、純奈、零、隼人、百合、ファンクラブの皆も……全部!!こんな、こんな終わり方………やっぱり、無理だ……」
膝から崩れ落ちる。
周りの生徒達がざわつく中、俺はもう二度と立てないって確信した。
もう、前を向いて歩けないーーー俺は教師として生まれてきたような人生だったって今頃気づいてもーー遅いのに。
「しゅ、修先生!!!!!」
誰かが体育館を走る音がした。
俺を呼ぶ声をみたら、そこにはーーー。
「純奈……?なんでお前が………?!」
「皆!!ごめんね………わ、私はこの学校の卒業生です!!しゅ、修先生の引退を止めに、き、来ました!!」
漣のように、ざわめきが広がって周りの先生たちが捉えようと純奈に集まる。
だがーーー。
「「「「「先生!!辞めて!!!」」」」
ファンクラブの生徒達が、止めに入ってきたのだ。
「み、皆も事情を知っているかもしれません。私が、修先生の事件がきっかけで実の両親を亡くした、ちょ、「張本人」なんです!!」


