クローバーの海の浜辺。
潮風に当たると全ての心の闇が洗われて、清々しい。
「純奈、用事って何?」
できれば決戦の舞台は、晴れ晴れとした海の下の方が良いと思ったのは、私だけだろう。
「どうして、修先生の件を黙ってたの?」
もう言い逃れはできないと、私は友香ちゃんから聞いた全ての悶々を話す。
それを否定するまでもなく、抵抗するまでもなく。
「純奈……あの人は、貴方の両親を殺した「犯罪者」なのよ」
「でも、飛び出してきたのは私の両親だから、悪いのは修先生じゃないのよ?その傷を背負いながら、教師を辞めた人生を送ってほしくないの!!」
「私は………貴方のことも好きだけど……実の娘を奪われた苦しみは、あなたに分からないでしょね」
雲行きが怪しくなって、湿っぽい風が吹く。
「私はね、修先生に………やっぱり教師を辞めてほしくないの」
「噂では聞いたわ。それでも何であなたは、修先生を憎まないの?大切な人を奪ったあの人を………」
「修先生は、出来損ないの私を……それでも嫌な顔せずに、卒業させてくれたから」
おばあちゃんは黙った。
だが私はまだ続ける。
「修先生はもし、私の両親を殺したんだとしてもきっと理由があるっていうくらい、私のことやおばあちゃんが辛かった時だって支えてくれたカッコいい一面がある。………だって、修学旅行で困っていた私達を修先生が助けてくれなかったら、今頃私達共倒れになってたはずだよ?一緒に仲良く暮らせてなかった。違う?」
「………そうね」


