きっといい教師になれるだなんて。
甘く見てた。
だが実際はどうだ?
俺が純奈の両親を「轢き殺していた」事実を知らず。
純奈に深いトラウマを植え付けていたのにも関わらず。
ーー「お前は俺を弄んているのか」ーー。
だなんて。
「俺は、教師として、失格だ。
一人の人間として、何一つ生徒の為に与える事が出来なかった。
ただの自己満足のクズ野郎だ……」
駆け巡る思いに、涙が溢れた。
人生でここまで泣いたのはいつぶりだろう。
「修先生は………修先生なんだよ。
別に……皆は修先生にそれ以上は求めてないんだよ……?
どうしちゃったの?」
純奈の温もりが、手に触れる。
その瞬間俺はーーー手を払ったんだ。
「辞めろっ!!」
しまったと思い、前を向く。
おののいた、純奈がそこにいたけどーーー。
「………ごめんなさい。
私が深入りしすぎたね………」
そっとポカリスエットを差し出してくれた。
「私………出るね。
ごめんなさい」
純奈がまるで、悪役になってしまったかのような地獄の空気の中。
部屋から出てしまった。
俺の部屋にいたということはずっと、待っていたのか?
一緒に屋台に回るのを、ずっと待ち望んでいたのか?
声にならない嗚咽が迸る。
ーーー純奈、俺はお前のことが世界一好きだ。
ずっと俺みたいな、世間知らずをずっと遠回しだけど想い続けてくれてさ。
それでもこうして俺のそばにいてくれて、嬉しいし、幸せだ。
だけどお前の苦しみを生み出したのも、俺なんだ。


