目を覚ます。
左に顔を向けるとバルコニーには、花火が写っていた。
ーーーもう、夜中近いんだな。
鳴り響くバンドマン達の演奏。
部屋の静けさに現実という重い空気がのしかかる。
「修先生………大丈夫?」
振り向くと、そこに純奈がいた。
「どうして………お前………」
「皆がここまで運んでくれてたみたい。
私その場にいなかったから、こうして近くにいるしか……」
辺りを見渡す。
俺の部屋であることは、間違いなかった。
「俺は………、俺は………、生きてるのか?」
「………?
生きてるよ。
きっと、疲れて倒れちゃったんだよ」
戸惑う純奈を見てーーー真実は知らないんだと気付いた。
純奈は俺がした事をーーー知らないのだ。
優しい笑顔から………そう確信した。
「俺は………何のために、教師をやって来たんだ……?」
一人で歩けもしない生徒を、歩けるようにする。
生きていける幸せを感じられる教師を夢見てた、なのに……。
「俺は……一人の生徒の「幸せ」を踏みにじったんだ。
トラウマを植え付けた」
「さっきから……、どうしたの?
やっぱり、いないほうがいいの?」
初めて会った、その日から。
俺は教師として導いてやろうなんてたかを括ってたんだ。
生徒達を、彼女を。


