「………あぁ」
母さんは息を吸い、「それ」を放つ。
「貴方は交通事故で記憶を失った事実があるでしょ?それはね、純奈ちゃんの両親を巻き込んでしまった事故なのよ」
「………へ?俺が……?ーーーまさかーーー」
「修っち………がって事?」
「修先生と純奈先輩ってまさか………」
「修、貴方はね純奈ちゃんの両親を「轢き殺した」正真正銘の「当事者」なの!!「純奈ちゃんの両親を車で轢き殺してしまった」花子さんと純奈ちゃんへの……「加害者」なのよ!!」
俺は目の前が真っ白になった。
いや………全てを俺は思い出した。
それは………純奈を一目見て助けたいと思った理由が。
それは………車でガードレールにぶつかって池に落っこちた時、一緒に溺れていた純奈の「両親」に顔がそっくりだったから。
事件の面影を、俺は微かに覚えて助けようとしたかったからなんだと。
俺はすぐさま思い出してーーー足元がくすんで倒れてしまった。
視界は闇にのまれた。
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