月と太陽

私が少し切なそうな顔をすれば
光守は柔らかく微笑んだ。

"影守、私もう、逃げない。
死にたいとか、思わないから…
だからその代わりに
高校の3年分の人生を、
やり直すチャンスが欲しい。
今からの人生をちゃんと生きたい"

…光守の気持ちは勿論分かってあげたい。
3年間入れ替わって生活して
影守がこれからの人生
前向きになれるのならそれで良い。

私も今の学校に通い続けたい気持ちより
影守の気持ちの方が大事なんだけど…


"…光守、私の学校
女子校だって分かってるよね。
女の子に囲まれた生活は
影守にとって、大丈夫なの?"

"…"

"それに、入れ替わるなら
本当に完璧に誤魔化さないと。
私と光守は同じ顔だけど違う人間なんだから。
入れ替わってる事が途中でバレたら、
お互いの人生が狂ってしまう。
私も光守も、不幸なんだよ"

"…"

"それに、お父さんやお母さんにも
まだやっぱり言えないの?
光守の事絶対大切に思ってるんだから、
光守の気持ちに絶対寄り添ってくれるよ。
そこからじゃダメなの?"

…現実的に色々な問題が浮上する。

ただの双子の興味本位で
入れ替わる訳じゃない。

影守のこれからの人生がかかっている事だ。