月と太陽

「…私は確かに勉強は出来るかもしれませんが
無駄に知識が多くても
人生って学校で教わった基本通りの事ばかりが起こる訳じゃないし…逆に凝り固まった考えで自分も生き辛くなる事がある。
私は水田先生が思う程出来た人間でないです」

私は気付けばそんな事を口にしていた。

水田先生はそんな私の言葉に少し黙った後


「そうね。学生の時って頭さえ良ければ
将来の道の選択肢も広がるし、
皆からチヤホヤされる事も多いけど…
大人になって実際に社会に出れば
知識だけじゃない能力も必要になってくる」

「…」

「社会って平気で人を傷付けるから
人を思いやる気持ちと同時に
自分の精神だって守らないといけない。
家庭が出来れば仕事と家庭の両立。
歳をとれば親きょうだいの介護問題。
人って一番残酷だけど、
生き抜く事が一番大変な生き物だと思うわ」

「…」

「北条さんも確かにこれから色んな事を経験して生き辛くなる場面に遭遇するかもしれない。
でも、北条さんの今得ている知識は無駄なものじゃない。基本的な知識がない人に応用なんか出来ない。貴女は人一倍努力して知らない事を知ろうとする強さがある。
北条さんならこれから先
きっと何でも乗り越えられるわよ」