月と太陽

私は思わず言葉を掛けようとしたが
その前にお母さんが
光守の傍に歩き出し、目の前に立つと

「何言ってるのよ、！」

パチンッ…と光守の頬を叩いた。

光守はびっくりした様子で
頬を押さえながらお母さんを見た。

「…自分だけが我慢すれば良いなんて考え、
そんなの、間違ってるわ！」

「…」

「光守はずっと間違ってる！
お母さんやお父さんが傷付くからと思って
何も言わないで我慢して…何も言わず隠されてた今のこの状態の方がよっぽど傷付いてるなんて、そんな事も分からないの！？」

「…」

「光守は、お父さんやお母さんだけじゃなく
影守が今まで頑張ってきた事も否定するの？
影守は光守に頼られて嬉しかったはずよ！
光守の事を何一つ悪く思ってないのに…
自分がどれだけ周りに愛されてるのか、
光守は分かってないのよ！」

「…おか、さ…」

お母さんは泣きながら震える光守を
強く抱き締めた。