月と太陽

すると光守はそんな私の声を聞いてか
私の制止の言葉を聞かず
ガチャッと勢いよくドアを開いた。

ドアを背にしゃがみ込んでいた私。

…光守の目の前には、
きっと私の弱々しくうずくまった背中が
映っているだろう。

「…影守、何があった」

すると光守は、
低い声で私を後ろから抱き締めてきた。

…そんな光守の言葉と行動は、
まるで本当の男の子のようだった。

「…光守、私、」

「うん」

「…」

「ゆっくりで良いよ、影守」

…光守は優しい雰囲気で私を抱き締めたまま
言葉を待ってくれている。

光守に、今まであった事を
本当に伝えて良いのだろうか。

また、パニックにならないだろうか。

そう思ったけど

「影守、悩んでる事全部話してよ」

そう力強く言う光守に
以前のような精神の脆さは感じられなかった。