月と太陽

私がそう思っていれば

「…俺じゃ力にはなれないのか?」

流星はそう言ってくれた。

「…悩んでる光守を見てるのが辛い。
光守、もっと周りを…俺を頼れよ」

手を優しく握ってくれる流星に
私はどこか切なくも熱い感情を抱いた。

私は…自分のこの感情の正体が何かは分かる。

ずっと恋愛小説も好きで読んでたし
私もいつか幸せな恋愛をしたいと思っていた。

でも、まさかこんな形で
自分の初恋が生まれるとは思っていなかった。

「…流星に頼れない」

私がそう静かに言えば

「何でだよ…」

そう切なそうに言われ心が苦しくなる。

でも私は流星に恋をしてはいけない。

だって私は光守じゃない。
たとえ、流星が私と光守が入れ替わった時から
私を好きだと意識してくれたとしても
きっとタイミングがそうさせただけだ。

それに今私が生きている人生は光守のもの。

私は今は…光守だ。

"影守"は本来、
流星に出会う事はなかった人間だ。

流星の人生まで壊してはいけない。