月と太陽

「…影守さんも覚えてないと思う。
だって小学生の時の話だし、
私の事も覚えてないんだから。
でもね、私は覚えてる。
その日から実習の最後の日まで
貴方達が手を繋いで楽しそうに一緒に登下校する姿をずっと見ていたから」

水田先生は、
思わず涙が流れる私の手を握り締めた。

今度は苦しい涙じゃない。
別の感情の、何かで溢れる涙だ。

「…でもだからと言って光守さんが
同性愛者だという確証なんてその時は勿論なかったし、影守さんがこの学校に入学した時も
私はびっくりはしたけど、別にその当時の事も言う事じゃないと思ってたから、
何も言わなかった」

「…」

「…でもね、影守さん、夏休みの終業式の日に
"大切な人の心を救いたい"って、
私に言ってくれたの」

「…」

「…それが光守さんの事かは分からなかったけど、あの時の貴方達双子のあの時の絆を見ていた私は勝手に影守さんの言う救いたい相手は
光守さんの事だと思った」

「…」

「…それで今日、貴方の姿を見て確信した。
貴方は…今でも自分の心と葛藤し続けているのよね?大人になるにつれて自覚せざるを得ない…自分の心と身体が一致しない違和感に。
そして、貴方は何か打開策を見出だす為に
今、入れ替わって生活してるんでしょう?」