私たち、幸せに離婚しましょう~クールな脳外科医の激愛は契約妻を逃がさない~

「そうですよね。WEB講演会だけだと、私にはどうしても理解できなかったり」

 これまでもネットでは情報収集している。でも、わからないところがあるまま、終わってしまうことが多々ある。実際の講習会では参加者の話もその場で聞けるという利点がある。

 医学を勉強していない沙月には、どうしても周りの医師の生の声が必要なのだ。

「沙月さんは勉強家ですね」

「なんの力もありませんが、一応勉強くらいはしようかと。守山先生、色々教えてください」

 同じ脳神経科でも外科と違って内科は薬による治療が中心になる。

「もちろんです。何なりと聞いてください」

 講演会で会いましょうと約束をして、仕事に戻る守山と別れた。

 ひとりになり、ホッとしてミルクティーを飲む。

 ふと、講演会の話をしている間は主真を忘れていたと気づいた。

(そうよ。私は今、恋なんてしている余裕なんてないんだから)

 父に薄羽を任されたけれど、その未来に主真はいないのだ。それでも父が不安にならないよう、がんばらなきゃいけない。

 決意も新たに大きく伸びをして、沙月もバルコニーを出た。