私たち、幸せに離婚しましょう~クールな脳外科医の激愛は契約妻を逃がさない~

『私が生まれた日は、綺麗な満月が夜空に浮かんでいたそうなんです』

『そうか。君によく似合っている名前だ』

 沙月は照れくさそうにはにかんでいたが、その通りだと思う。

 彼女の満月のような笑みは、光のない闇をも照らす。

 沙には取捨選択の意味もあるそうだ。その名の通り、沙月といると心が洗われるような気持ちになる。

 というのは大げさではなくて、先日、疲れ切った顔をした事務長も言っていたのだ。

『沙月さんの存在が薄羽の未来を照らす光ですから』

 それにしても、彼女は自分のことには無頓着らしい。

 せっかくなら食事も誕生日に合わせたほうがいいと思ったのもあって、誘ったのだが、当の本人が忘れているとは夢にも思わなかった。

 もしかすると家で誕生日を祝う習慣がなかったのかもしれない。

 夕べ初めて、沙月の口から継母に対する不満を聞いた。

(少しでも、俺に心を開いてくれたのか?)

 ハウスキーパーの件以来、主真は継母を疑いの目で見ている。