私たち、幸せに離婚しましょう~クールな脳外科医の激愛は契約妻を逃がさない~

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 午後一時、少し遅い昼食を取る。沙月が作ってくれる弁当は、手軽に食べられるおにぎりだ。いつも具は充実していて、ひとつ目は牛肉のしぐれ煮がたっぷりと入っている。

 デートをした日から三日。相変わらず朝食だけを共にする日々だが、出がけに玄関まで見送りに出て「いってらっしゃーい」と笑顔を向ける沙月を見ずには、一日が始まらなくなっている。

 あの笑顔のおかげで、気分良くスタートできるのだ。

 今朝も看護師に『青葉先生、最近、楽しそうですね』と笑われてしまった。

 そんなふうを言われたのはこれまでの人生で始めてかもしれない。これもすべて沙月の朝の見送りのせいに違いなかった。

(しかし、自分の誕生日も忘れていたとは)

 夕べ夕食のときに用意していたプレゼントを渡すと、沙月は目を丸くして驚いていた。

『今日は君の誕生日だろう?』

『あっ! そうでした』

 十月十日。覚えやすいので記憶していた。

 沙月という名は、亡くなった実母がつけた名前らしい。