ランチは通りかかった寿司屋に入った。
開店直後の店内はまだ空いてて、カウンター席に座る主真について沙月は隣に腰を下ろす。
「お寿司好きなんですか?」
彼は頷きつつ、沙月を振り向く。
「君は料理が上手いだろ? どうせなら君が作らない料理がいいかと思ってね」
さりげなく褒められてポッと頬が熱くなる。
「さあ、好きなのを頼んで」
私は主真さんと同じでいいと心の中で答えた。あなたが好きなものを一緒に美味しいねと味わえればそれでいい。そんなささやかな幸せを味わえれば。
そう思ってはみても言葉にはできず戸惑っていると「おまかせでいいか」と彼が言った。
「はい。おまかせで」
ヒラメから始まった寿司を食べながら、思い切って沙月は話を切り出した。
「あの……もしかして、夕べ運んでくれました?」
「ああ。そうそう。具合でも悪いのか気になって声をかけたんだ」



