私たち、幸せに離婚しましょう~クールな脳外科医の激愛は契約妻を逃がさない~

 彼の向かいのソファーに腰を下ろした。

 カップを手に取り、夕べ自分を運んでくれたのか聞こうとするが、切り出せない。

 万がいち運んでくれたとして、さぞかし重かっただろうに。想像しただけで顔から火がでそうだ。

「今日の予定がなかったら、出掛けないか?」

「え?」

 一緒なんの話かわからなかった。

(でかける?)

「保留になってただろう?食事。その前に、たまには一緒に買い物でも」

「はい! 行きます」

 思わず大きく返事をした。

「行きたいです。買い物。ちょうど欲しいものがあって」

「そっか。じゃあ行こう」



 結婚十カ月にして初めてのデートに胸が躍る。

 服装は無難にふんわりとしたシルエットの秋色ワンピースとカーディガン。靴は歩き疲れないようローヒールのパンプスにした。

 主真は白いカットソーの上に黒のジャケットを羽織り、チャコールグレーのテーパードパンツという休日スタイルだ。