私たち、幸せに離婚しましょう~クールな脳外科医の激愛は契約妻を逃がさない~

 食器を食洗機にセットしながら、なんとなく心配になった。よく考えてみると、朝食のとき疲れて見えた気がするのだ。

(体調でも悪いのか?)

 様子をみようと沙月の部屋に向かった。

 沙月の部屋はリビングの奥にあり、扉が開いていて部屋から明かりが漏れている。

「沙月、いるか?」

 声を掛け部屋を覗くと、机に突っ伏して沙月は寝ているようだった。

 あの体勢ではかえって疲れるだろう。声をかけようとして近づき、机の上の本に目を留める。結構な厚みのある本がいくつか積んであった。

 病院の経営に関する本ばかりで、本にはメモつきの付箋が貼ってあったりする。

 沙月が伏せている下敷きになっている本も、きっと同じだろう。手にマーカーを持っているところを見ると、読みながら寝てしまったようだ。

「沙月、風邪ひくぞ?」

 小さく声をかけてはみたが、沙月はパジャマに着替えているし、これはもう起こさないほうがいいと思い直した。