私たち、幸せに離婚しましょう~クールな脳外科医の激愛は契約妻を逃がさない~

 未だに医師の過剰労働は問題になっているが、今以上にワークライフバランスを取れない時代だったのもある。

 一人でも多くの患者を助けたいと、志高く父が身を粉にして働いてるのを知っている沙月は、余計な心配をかけたくなくて、自分からは父に言わなかった。

 我慢して、ただ我慢して。

(本当は言いたかったんだよ)

 華子は元々いた家政婦をクビにした。新たに雇った家政婦は、沙月をあからさまに差別した。声をかけても無視されて、沙月は中学生ね頃から、自分の部屋の掃除や洗濯を自分でしてきた。

 お小遣いをいっさいもらえず、父がくれたお年玉と、内緒でしていた家庭教師のアルバイトの収入だけで、身の回りのやりくりをしていたのも全部、沙月は自分の胸にしまってきた。

 でもすべて終わったことだ。

 過去を振り切り、沙月は精一杯の笑顔を向ける。

「――私は大丈夫だよ? お父さん。今だって幸せだもの」

「それならいいが……」

「主真さんすごく優しいの。食事の後片付けとか普通にしてくれるし」