私たち、幸せに離婚しましょう~クールな脳外科医の激愛は契約妻を逃がさない~

 結婚という犠牲を払ってまで、薄羽病院を守りたいという彼女となら、同じ目標に向かって歩めるだろう。

 愛情まではなくても、沙月となら穏やかな結婚生活が送れるに違いないという、確信めいた気持ちが湧いたのだ――。



「順調ってからには、ちゃんと会話ができているんだろう?」

 仁の質問にこくりとうなずき、生ビールを勢いよく飲む。冷えたビールが喉を流れると同時に疲れも消えていくようだ。

 ふと、沙月がくれたカフェオレを思い出した。

 食事に行けなくなった罪悪感からか、断れずに受け取ったカフェオレは、予想した以上に甘かった。だがどこかホッとする味で、オペの疲れが溶けていくようだった。

「毎朝一緒に朝食をとってるし、時間が合えば夕食も一緒だし」

 仁はニヤッと笑って「えらいじゃないか」と、ポンポンと主真の肩を叩く。

「嫌な顔をしないところをみると、そう我慢しているわけでもなさそうだな」

「まあな」