私たち、幸せに離婚しましょう~クールな脳外科医の激愛は契約妻を逃がさない~

 主真自身に気がないとわかるだけに、どうしてそこまで必死に結婚したいのか。

「薄羽を立て直すには、青葉さんの力が必要なんです!」

「俺と結婚すれば、青ノ葉大学病院と強い医療連携ができるから?」

「それもありますけれど――」

 口ごもり唇を噛む沙月を見ていると、彼女の母親の葬儀で見た小さな沙月と重なって見えた。必死で悲しみと戦い、それでも堪えきれず泣いていた少女。

 目の前の彼女もまた、悲しみに耐えているように見えたのだ。

 震える細い肩を、ふと、支えてあげたいと思った。

「わかった――しようか、結婚」

「えっ」

「俺で力になれるなら」

 沙月が真剣に病院の再建を考えているという姿に、少なからず感心したのもある。

 パッと花が開いたように笑顔になった彼女に釣られて微笑んだ。

(こんな結婚の形もありかもしれないな)

 再婚相手を探すという滅茶苦茶な話はさておき、薄羽は地域にとって重要な病院だ。

 どこまでできるかわからないが、医師として貢献したい。