私たち、幸せに離婚しましょう~クールな脳外科医の激愛は契約妻を逃がさない~

 先代は独善的な経営をしており、後継者を育てずに亡くなったらしい。しかも蓋を開けてみたら経営は火の車。沙月の父は現役の脳神経外科医で、院長でもあったが、ほかに任せられる人物もおらず、次が決まるまで自身が理事長になったという。

 体制を見直し、脳神経外科を中心に添えた新たな薄羽病院となって一年。これからというときに、沙月の父は過労で倒れた。

「ひとまず会うだけ会ってみろ。どうしても嫌なら無理強いはしないが、悪い話じゃない。彼の努力の甲斐あって、若手の優秀な医師が揃っている。脳神経外科医が彼以外に三人。脳神経内科医がふたり。お前が彼女と結婚すれば青ノ葉と薄羽はより強い医療連携ができる。この結婚はビジネスでもある」

 なるほどと思った。

 父が勧めてくるだけの好条件が揃っている。

 これまでも母に口やかましく結婚しろと言われていた。