私たち、幸せに離婚しましょう~クールな脳外科医の激愛は契約妻を逃がさない~

 見合いの席でにこりともしなかったので、てっきり俺様な人だと思っていた。結婚しても我関せずを貫かれると思っていた沙月にはうれしい誤算だ。

 結婚前から少しずつ、彼は優しさの片鱗をのぞかせていた。

 式の打ち合わせや新居探しで何度か会ったときも、エレベーターでは必ず先に入り扉を抑えて待ってくれる。このレジデンスへの引っ越しのときも、嫌な顔をせず家具選びも付き合ってくれた。

 重い物の持ち運びは当然、買い物にいけば必ず荷物を持ってくれる。外科医の手は大切だから、大丈夫だと言っても。

 そんな人だからこそ、こうして朝食を一緒に取れているのだ。

 今朝の献立は鮭の西京焼きに厚焼き卵。キュウリの漬け物と作り置きのきんぴらゴボウに、ワカメと豆腐のお味噌汁。

 向かいの席に座る彼の髪はまだ少し濡れている。

 シャワーで血行がよくなったせいか、昨日の昼間病院で見たときとは違って、やけに艶やかだ。はだけているバスローブから意外なほど筋肉のある胸板が見えて、沙月は慌てて視線を泳がせる。