私たち、幸せに離婚しましょう~クールな脳外科医の激愛は契約妻を逃がさない~

 呆れ顔の彼に苦笑されたが、たとえ父親でも素っ裸の男性を見た経験がないのだから仕方がない。

 それ以来、彼がバスルームにいるときは近づかないように用心している。

「おはようございます」

「おはよう」

「もしかして帰ったばかりですか?」

 職場が病院という仕事柄、沙月もだが主真も帰るとまず最初にシャワーを浴びる。

 主真は「ああ」と短く答えつつ、心配そうな沙月の視線に気づいたらしい。

「結構仮眠が取れたから、大丈夫」

 見たところ目の下にクマもないし顔色も悪くない。沙月はホッと胸を撫で下ろす。

「それならよかったです」

 昨夜、食事の約束が流れてしまったのは残念だが、それ以上に彼の体調のほうが心配だ。薄羽に来たせいで、過労で倒れてしまったらどうしようと、それだけが気がかりだった。

 自分から強引に頼み込んで結婚してもらった手前、彼に疲れが見えると、罪悪感が湧いてくる。父のように倒れてしまっては大変だから。