私たち、幸せに離婚しましょう~クールな脳外科医の激愛は契約妻を逃がさない~

 朝よりも、いくらか顔色が悪かった気がする。それすらも彼には魅力を増す材料になっていたが。

 それにしてもと、存在感のある後ろ姿に感嘆の溜め息を漏らす。

 スラリとした体躯。首が長くすっきりとした顎のライン。こうして後ろから見ても、隙のない完璧な容姿。大きなガラス窓から差し込む光が白衣を照らし、神がかってさえ見える。

 彼とすれ違うたびに、看護師たちの目がハートになるのも当然だ。先ほど話した看護師が言っていたとおり、彼は女性たちの目の保養になっているに違いない。

 そんなパーフェクトな人が自分の夫だなんて、やっぱり実感できない。今話したばかりだというのに、沙月はまるで夢でも見ているような気がした。

 今は一緒に住んでいるけれど、あと一年と少しで離婚すれば、また遠い存在になる。

(私はその先もここで生きていくけれど、主真さんは渡米してますます優秀な脳神経外科医になるんだろうな)

 それでいい。彼には輝かしい未来が待っているからと思った。