「泣かないでお父さん」
「かわいいなぁ」
沙月の父と祖父は泣きながら、かわいいと連呼する。
「俺にそっくりですよね」と、主真が胸を張ると、父や祖父も「鼻はじいじだよな」とか「いや、ひいじしじ似だ」と始まった。
「みんなにちょっとずつ似てるんだよねーマアちゃん」
子どもは陽真(はるま)と名付けた。
陽真を恐る恐る抱く父を見ていると、主真が沙月の腰に手を回した。
「ありがとう、沙月」
皆の目が陽真に向いているのをいいことに、耳もとでそっと囁いた主真は、沙月の耳に軽くキスをする。
「私こそ」
キスを返すわけにもいかず、沙月は主真の肩に頭を載せた。
ふと、お見合いをしたのは二年前のちょうど今頃だったと気づく。
(必死だったんだよね)
よくもあんなことを言えたものだと、今更ながら恥ずかしくなる。
「そういえば、沙月。言い忘れていたな」
主真が意味ありげにニヤリと目を細める。
「俺の好みの女性だよ」
(えっ?)
なにを言い出すのかと沙月はジッと見た。
「何事にも一生懸命で、強がりで。実は泣き虫なくせに我慢強いんだ」



