私たち、幸せに離婚しましょう~クールな脳外科医の激愛は契約妻を逃がさない~

 アツ・ヘルスの実情を知った華子は、号泣したそうだ。

 過去の援助分を大きく上回る援助を実は父が華子の実家にしていたと知り、なにも言えず離婚を受け入れたていう。

 美華はいつのまにか大学を辞めていたらしく、ふたりは東京を離れたと聞いている。

 アツ・ヘルスは粉飾決済が明るみになり、世間を騒がさせたりしていたが、そこから先はわからない。

 なんにしても、沙月を悩ませていた悪縁は切れた。

 あとは無事に出産の日を迎えるだけ。

「赤ちゃんの写真楽しみにしてるからね! 絶対に送ってよ」

「はい。いない間、よろしくお願いします」

 今日を最後に産休に入ると決まった。

「荷物、持つからさあ、沙月さん貸して」

「大丈夫ですよ」

 臨月を迎える今まで働けたのは、皆の協力のおかげだ。

「いいから、いいから」

 経理と給食部門の女性たちがいつの間にか職員用通用口に集まってきた。

「あ、ほらほら来ましたよダーリンが」

 振り返ると、彼が笑いながら車から降りる。