私たち、幸せに離婚しましょう~クールな脳外科医の激愛は契約妻を逃がさない~

 思い切り頭を下げた。

「ごめんなさい。主真さんには迷惑はかけたくないんです。私が立派に育てますから心配しないでください」

 主真には自由に羽ばたいてほしい。

 あなたの活躍を遠くで応援できれば、それだけで幸せだから。どうかわかってほしいと、それだけを願った。

「なにを言ってるんだ」

 不意に抱き寄せられた。

「主真さん、私は――」

「君がいない人生なんか考えたくもない」

 身動きができないほど強く抱きしめられるうち、胸の奥から熱いものが込み上げて、しまっていた本音が顔をだす。

 主真と離れたくない。でも、それでは……。

「ちゃんと話をしよう、沙月。俺たちの家で」

 声にならない声で沙月はうなずいた。こくこくと、何度も。

 

 その日の夜。沙月はレジデンスに帰った。

 出ていってからまだ丸二日しか経っていないせいか、夢の続きのような気がする。

 かと言って離婚届を出したのが夢なのか、戻ってきたのが夢なのかは、わからないが。