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「ちょ、ちょっと待って。今、離婚って言った?」
「はい」
夕食を終えてすぐだった。
『実はちょっと話があるんです』
深刻な顔でそう言った沙月はいきなりそう言い出した。
「理由は?」
「来月から新しく脳神経外科医が来ると決まったそうですし。おかげさまで、父が復帰できましたから……」
(だから俺はもう必要ないって?)
愕然とするところに電話が鳴った。薄羽病院からである。
今日はオンコールなので出ないわけにはいかない。
「そのまま待ってて」
うなずく沙月を見つめながら電話に出ると、急患がでた呼び出しだった。
「わかった。すぐに行く」
電話を切ると、沙月が「気をつけていってらっしゃい」と微笑む。
「とにかく、また後でゆっくり話をしよう」
「はい。わかりました」
とにかく急いで病院に向かった。
まさか、沙月がどこかに消えるとは思わなかったから――。



