私たち、幸せに離婚しましょう~クールな脳外科医の激愛は契約妻を逃がさない~

 責任感も優しさも十分になる人だから、自分と子どものためにアメリカ行きをあきらめるに違いない。あちこちの大学病院から誘いがあるというのに、その道も閉ざされる。

 このままでは彼を薄羽に縛り付け、輝かしい未来を奪うことになってしまう。

(そんなのだめよ)

 薄羽の経営はいくらか上向きになったとはいえ、まだまだ見通しは暗い。父が復帰したとはいえ、無理はできないし、余裕ができたら今度は院内のリフォームも必要になってくる。
 けれど、それは薄羽家でなんとかすべき問題だ。

(重荷を背負うのは、私だけでいい)


 沙月は父に電話をかけた。

「お父さん、明日ちょっと時間を作ってくれる?」