私たち、幸せに離婚しましょう~クールな脳外科医の激愛は契約妻を逃がさない~

「ええ、それはもう。私も心配になって〝今でもまだアメリカに行きたいですか?〟って聞いてみたんですよ。先生は笑って――」

 ハッとして息を呑んだ。

 美華の話はきっと本当だ。主真はアメリカに行きたいのだ。

「先日青ノ葉大学病院の事務長と話をしたんですが、青葉先生はあちこちの大学病院から引っ張りだこだったそうで。彼を独占できるなんて花嫁はよほど魅力的な方なんですねってね。だから、そりゃもううちの沙月さんは自慢の――」

 なにか言わなきゃと思うのに、動揺して声にならない。

「ところで沙月さん、顔色が悪いようですが、大丈夫ですか?」

「あっ、すみません。なんでもないです。夕べ晩御飯を食べ過ぎちゃったみたいで」

「それならいいですが、体調が悪いからといって、謝る必要はないですからね?」

 事務長は優しい微笑みを浮かべる。

「そうですね。すみま……」

 またしても謝りそうになり、あははと笑い合った。

「心配かけてしまって申し訳ないという気持ちは、私もよくわかります」

 事務長も心配して声をかけるといつも謝っていた。

 沙月の父が倒れてからずっと彼は忙しい。いっときは目に見えて疲れていたが、理事長復帰の見通しが立ち心身ともに落ち着きを取り戻したようだ。