私たち、幸せに離婚しましょう~クールな脳外科医の激愛は契約妻を逃がさない~

 沙月にとっては優しく温かい祖父母だけれど、経済力では頼れない。お小遣いをくれるとかごく普通の余裕はあるが、薄羽病院の立て直しとなると話は別である。

 当初の縁談相手が美華だったかどうかは関係なく、契約結婚でなければ沙月は選ばれなかった。

 揺るがぬ確信に、思わず笑えてくる。

「あ、沙月さん。理事長代理いらっしゃいますか?」

 振り返ると事務長がいた。

「出かけているようですよ」

「そうでしたか。では出直しましょう」

 事務長と並び事務室に戻りながら、主真の話になった。

「昨日も青葉先生目当ての患者さんが特別室に入ってきましたよ」

 聞けば資産家の患者が、青ノ葉大学病院から紹介されてきたらしい。

「脳腫瘍の患者さんなんです。とても難しい手術というのもありますが、青ノ葉大学病院との強い連携ができたのも大きいですね。なんにせよ青葉先生さまさまです」

 答えに詰まり、作り笑顔でごまかした。

「――主真さんがいなくなったら、事務長泣いちゃいますか?」