私たち、幸せに離婚しましょう~クールな脳外科医の激愛は契約妻を逃がさない~

 布施はにこやかに沙月に質問をしてくる。どんな菓子が好きかとか、コーヒー派か紅茶派かなどと。

「うーん。特に好みはないですね」

 微笑みを顔に貼り付け、沙月はのらりくらりと答えた。

 見合いでもあるまいし、それを聞いてどうしようというのか?

 病院や医療に関する話題なら頑張って答えようと思うが、すべてがどうでもいい質問で、ますます気持ちは冷えていく。

 なのに空気が読めない人なのか。いつまでも話しかけてくるものだから、中座するわけにもいかず。結局、布施が帰るまでその場にいるはめになり、華子と一緒に彼を見送った。

「まったく。お前は本当に失礼な子ね」

 布施がいなくなった途端、華子は眉を吊り上げて沙月をキリキリと睨む。

「すみません」

「それでなんなの? 用事があってきたんでしょ」

「この領収書ですが、これでは内容がわかりません」

 言いながらふと思い出した。

 帰りがけ、布施が継母から受け取っていた菓子折り。あれは領収書にあった百貨店の物だ。