私たち、幸せに離婚しましょう~クールな脳外科医の激愛は契約妻を逃がさない~

 意味がわからない。

「以前、お父様に沙月さんとおつきあいしたいと申し出たんですが、断られてしまいましてね」

 ハッとした。

「ずっと考えていたんです。僕にはなにが足りなかったのか。青葉先生にあって僕にはないものはなにか」

 どう答えていいかわからず、沙月は立ち尽くす。

 守山は空を見上げながら語りはじめた。

「ルックス。これはもう太刀打ちできませんが、少なくともあの時点で青葉先生はいなかった。――外科医でなければいけないという必要性もあまり考えられない。となると」

 振り向いた彼は、ジッと沙月の目を見る。

「僕が平凡な家庭の出だからですか? 薄羽を支えるだけの背景が、僕にはないから」

「それは……」

 耳が痛い。

 彼の推測は、あながち間違ってはいない、けれど。

「――すみません、困らせてしまいましたね。どうぞ気にしないで行ってください」

「失礼します……」

 頭を下げた沙月は、唇を結び一旦はそのまま行こうとしたが、
 ドアノブに手をあてたまま守山を振り返った。