私たち、幸せに離婚しましょう~クールな脳外科医の激愛は契約妻を逃がさない~

 気持ちを乗せた溜め息が、冷えた空気の中で白くなる。

『二年という約束はなしにしよう』

 夕べベッドの中で主真が言った。

『ずっと一緒にいたいんだ』

(本気なの? 主真さん……)

 うれしかった。

 でも、本当にそれでいいのか。朝になると夢でも見ていたんじやないかと思った。

 彼のことが好きだという自覚はあっても、別れる前提でいただけに、気持ちの整理ができない。

「はぁ……」

 何度目かの溜め息をついたときだった。
 ガラッと扉を開ける音に振り返ると、守山が顔を覗かせた。

「あ、先客がいらっしゃいましたか」

 簡単に年始の挨拶をする。

「寒い風に当たりながら飲むコーヒーは格別においしいんですよ」

 彼は湯気の立つ紙コップを手にしていた。

「あれ? 暑い日に飲む熱いコーヒーが一番なんじゃなかったでしたっけ?」

「覚えてましたかー」

 あははと笑い合った後、ふいに守山が「沙月さん」とあらたまったように声をかけてきた。

「はい?」

「僕ではダメだった理由はなんですか?」

「え? それはどういう……」