私たち、幸せに離婚しましょう~クールな脳外科医の激愛は契約妻を逃がさない~

 父が完全復帰すれば、華子が指示する経費を心配は必要なくなるし、そのときには自分から給食部門への異動希望を出すつもりだった。

「――ということで、二月の献立は概ねこんな感じでいきましょう」

「はい。では計算しておきますね」

 ちょうど打ち合わせが終わった頃、ドアがノックされて総務の女性が入ってきた。

「沙月さん、ちょっといいですか?」

「あ、はい。大丈夫ですよ」

「あの、また伝票なんですが」

 苦笑し合い、困り顔の彼女と一緒に会議室を出た。

 例によって領収書には品目がなく、しかも今回は宛先が上様になっている。

「理事長が戻ってこられてから、減ってきたんですけどね」

「お手数おかけします」

「いえいえ、沙月さんこそご苦労様です」

 お互いを労い、総務の女性とは途中で別れ、領収書を手にした沙月は理事長室に向かった。

 父は二月から理事長として本格的に始動すると決まった。華子の出す使途不明金との戦いももうすぐ終わる。

 そう思えばいくらか気休めになった。