私たち、幸せに離婚しましょう~クールな脳外科医の激愛は契約妻を逃がさない~

「入念な準備のおかげで滞りなく過ぎました。外来がなかったから病院内は静かだったし、のんびりできましたよ。沙月さんはしっかりお嫁さんできました?」

「はい。おかげさまで」

「そういうときって、ご主人の実家でお手伝いしたりするんですか?」

 彼女はまだ二十代で恋人はおらず、沙月の、というよりも結婚生活に興味津々のようだ。新婚の正月がどういうものなのか気になって仕方がないらしい。年末にもあれこれ聞いてきた。

「しなかったわ。手伝おうとすると〝いいから座ってて〟って言われちゃうの。強引に手伝ったほうがいいのか、正解がわからないのよね」

「うわー、確かに悩ましいですねぇ」

 十時になり、雑談もそこそこに打ち合わせに入る。

 嗜好調査や残食調査の結果表などを確認しながら、決めていく。

 異動を言い出したのは華子ではあるが、沙月はこの仕事が好きだ。いずれはNST専門チームを作りたいという夢もある。夢の実現には、少しずつでも給食部門と関わっていたほうがいい。