私たち、幸せに離婚しましょう~クールな脳外科医の激愛は契約妻を逃がさない~

 電話をかけようとして一旦はスマホを取ったが、かけるのは止めた。もし寝ていたら起こしたくはない。

 これを機に、少しは自分の体を大事にしてくれるといいが、頑張り屋の沙月なだけに、そう簡単にあきらめるとは思えなかった。

 ただ、気持ちはわかるのだ。

 理事長は週に一度、顔を見せるようになったが、無理はできない。

 いくらか経営状態が上向きになっているとはいえ、まだ問題は山積みである。

 つらつらと考え込んでいると、看護師の奈津がひょっこりと顔を覗かせた。

「お疲れ様でした」

「お疲れ」

 彼女は優秀な看護師だ。さっきのオペでも随分助けられた。

「青葉先生、沙月さんの具合どうですか?」

「ああ、おかげさまで随分よくなった。昨日はありがとう。彼女も喜んで食べていたよ」

「それはよかったです。沙月さんは頑張り屋さんですからね。無理しちゃったんでしょう」

 主真は苦笑した。

(その通りだ。沙月は頑張りすぎる)