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沙月の表情が、どんどん疲れいった。
朝から瞼が重たそうで、顔色が悪い日も多い。
最近好みの女性を聞いてこなくなり、ようやくあきらめたかとホッとしていたら、今度はがむしゃらに働いている。
調理場の人手不足の件は、主真も事務長から聞いていた。
沙月は薄羽病院で働くと決めたとき給食部門に入るつもりだったらしい。
栄養学を学んだ彼女が、その道を希望するのは当然の選択ともいえるが、当時の理事長、沙月の祖父の指示で、彼女は総務課の所属になった。
祖父は他人を信用しなかったという。それでなくても美人で感じのいい孫を、給食部門のような裏方にまわすのはもってのほかだと事務長を叱りつけたそうだ。
経緯はともあれ、今や沙月は総務課でなくてはならない人材になった。
特に華子が理事長代理になり横暴ぶりを発揮しはじめてからは、沙月以外に華子に立ち向かえる者がいない。そんな彼女を給食部門に追いやるのは、継母の巧妙な嫌がらせである。



