私たち、幸せに離婚しましょう~クールな脳外科医の激愛は契約妻を逃がさない~

 とはいえこれ以上彼を困らせては申し訳ない。大きく息を吸って気持ちを立て直す。

「主真さんのご飯は?」

「俺も同じうどんだよ? 冷凍庫にあったアジの南蛮漬け? あれも食べた」

 よかったと胸をなでおろす。うどんだけでは寂しい食卓だ。

 机の椅子を持ってきて、ベッドの隣に腰を下ろした彼は、沙月が食べている間に、今日病院で起きた出来事を話し始めた。

「たまたま通りかかった特別室の前で、なにを騒いでいるのかと思ったら、愛人と本妻がうっかり顔を合わせてしまったとかで」

「ええ!」

「仕方なく仲裁するはめに」

「主真さんがですか?」

 そのときの様子を主真はおもしろおかしく話して聞かせる。

「結局、愛人じゃなくてただの取引先の女性だったらしくて、平謝りされたんだが、まいったよ」

 主真の話は楽しくて、笑いながら食べるうち丼は空になった。

「ごちそうさまでした」

「少しだけ、ベランダに出られるか?」

「はい」