私たち、幸せに離婚しましょう~クールな脳外科医の激愛は契約妻を逃がさない~

 忙しい主真に余計な時間を取らせてしまった申し訳なさに打ちひしがれた。

 医者の妻なのに自己管理ができないなんてと思うと、肩身が狭い。体を小さくしてギュッと唇を噛む。

「なんで謝るんだ。君はたったひとりの妻なんだぞ? 心配くらいさせてくれ」

 主真はそう言うと柔らかく微笑んで、沙月の額に手をあてた。

 大きな手が目にかかり視界が暗くなる。温もりに包まれて、閉じた瞼の裏で涙がこぼれそうになる。

「じゃあ、行くな」

「はい。ありがとうございました」

 電気が消え、沙月は耐え切れずに涙を零した。

 ついさっきまでの悲しい涙とは違う。誰かが自分を心配してくれる。しかもそれが主真であるのがうれしい。

 お粥は程よく冷めている。ひと口ひと口味わいながら食べた。

(主真さん、ありがとうね)

 ありがとうと何度も呟くうち、沙月は眠りについた。

 

 再び目を覚ましたときも、目の前に主真がいた。

「主真さん……」

 彼は沙月の額や頬に触れる。