私たち、幸せに離婚しましょう~クールな脳外科医の激愛は契約妻を逃がさない~

(バカだな、私……本当につくづく嫌になる)

 ――中学生の頃、傘を持ち忘れてきた同級生に貸してあげた。

 彼女は家まで遠かったし、沙月の家はバスにさえ乗ってしまえばバス停から近かったから。でも、その日の雨はとても冷たくて。

『まったく、医者の娘なのに体調管理もできないて』

『ごめんなさい……』

 継母は呆れたように溜め息をつくだけで、なにもしてくれなかった。

 あの頃となにも変わらない。

 自分で薬を飲んで、氷枕を用意して枕元に水を置いて。

 父もいるし友達だっている。

 なのにどうして、こんなに孤独に苛まれるんだろう……。

 頬を涙が伝う。




 いつのまにか眠っていたらしい。

 額に冷たいなにかが触れて、目が覚めた。

「――沙月。大丈夫か?」

「主真さん?」

「やっぱり熱があったんだな」

 彼は冷静に脈を測る。

 聴診器を耳にあてて「ちょっと見るぞ」と、布団をめくった。