私たち、幸せに離婚しましょう~クールな脳外科医の激愛は契約妻を逃がさない~

「今はまだ慣れないだけですよ。まだ手際が悪くて。でも慣れれば大丈夫です。新しい人が決まるまでだから頑張らなきゃ」

 精一杯の笑顔を向けるが、主真の表情は相変わらず心配そうだ。

(そんなに顔色が悪いかな。もう少し化粧をしっかりしなきゃ……)

「例えば、給食部門の補助が終わるまで、ハウスキーパーを雇ったらどうだ? なにもかも全部自分でやる必要はないんだぞ?」

 沙月は瞳を揺らしてうつむいた。

「――そうですね」

〝必要ない〟という言葉が胸に刺さる。

 どうしても主真さんの食事は自分が作りたい。

 そう思ったところで、この気持ちが主真に届くことはないのだ。

 誕生日にもらったネックレスを外せるにいる理由も彼は知らないのだから。

「俺の友人が警備会社のかたわら、ハウスキーパーの派遣もしているんだ。単発でも請け負ってくれるんだ」

「わかりました。仕事の様子をみて、考えてみますね」

 忙しいのはむしろありがたいのだ。一生懸命頑張っていれば、主真を考えないで済む。